タケオの闘病生活 Act3  〜手術の前〜

闘病生活 Act3  〜手術の前〜



〜前回のあらすじ〜


いろいろな噂から、心臓の手術は背中からするものだと思い込んでいた俺・・・。


しかし、手術の方法をドクターに聞いた俺は、
ドクターの口からとんでもない術法を聞く事になる!


そのとんでもない術法とは!?




「どのように手術を行なうんですか?」
 俺はドクターに聞いてみた。



「手術の方法は、胸を開き、あばら骨の中心を切り開き手術を行います。」
ドクターの手術方法を聞いた俺は、
奈落の底に落とされたように言葉を失ったのだった!



「な、何だって!!胸を切り開くだって!?冗談ですよね?」
俺は、自分の想像していた方法とは全く異なっていたので、
ドクターの口から出た言葉が信じられなかった。



「・・・。いえ・・・。事実です・・・。
 胸を切り開き、肋骨の真ん中を切り開き、肋骨を固定して、手術を行いますよ。」
ドクターは眼鏡の奥の瞳を、キラキラ輝かせながら嬉しそうに説明した。



(こ、こいつ・・・。)
俺は怒りで我を失いかけた。


が、さすがに”地上に舞い降りた天使”。
怒りを押さえ、ドクターに軽くケリを入れた。


しかし、俺は胸を切り開くという手術方法だけに驚いているわけでは無かった。


胸を切り開くと言う事は、俺の胸の七つの傷が見られてしまう!
どうすればいいんだ!!


(まっ、いいか・・・。)
「今更考えていてもしょうがないので、手術するか。」
俺は、素直に手術を受ける事にした。


「手術をする前に、まずは血液を抜きます。」
ドクターは満面の笑みで俺にそう言った。


(くっ!一体何を考えているんだ!?)
俺はドクターの言った意味がわからず、ただただ恐怖に怯えていた。


「そんなに怯える事はありませんよ。
 手術をする時に、当然血がドバッと出ます。
 すごく出ちゃうんですよ。だから、輸血をしないといけません。
 つまり、手術前に自分の血液を貯血して、手術の時にその血液で輸血するんです。」
ドクターは怯える俺の頭を撫でながら話してくれた。


「そういう事か・・・。ならば仕方あるまい・・・。許す。」
俺はドクターの頭を撫でながら答えた。

そして、マイマザーは帰宅し、俺は血液を抜く作業に入った。

「では、右腕を出して下さい。」
そう言って、ドクターは俺が腕を出したと共に、
右腕を掴み、針を突き刺した!


「コラコラ!俺の右腕ちゃんは逃げも隠れもせん!
 優しく扱いなさい!」
俺はドクターに注意した。


針の付け根には、細いチューブが付いており、
そのチューブの5キロ先には、血液を貯める為の袋が付いていた。
そのチューブの中を、俺の血液が袋に向かって流れて・・・。
ん・・・?


血液がなかなか出てこない!!一体どうなっているんだ!?
普通なら、針を刺しただけで、沢山出てくるのに、
俺の血液が少しづつしか出てこない!
その状況を見たドクターが、一言つぶやいた。


「あー、血管細いですねー。手のひらをグッパグッパしてみて。」


「グッパ!グッパ!グッパグッパグッパグッパグッパー!!」
俺はドクターに言われた通りグッパグッパした。


俺の腕から血液が出てきた!これで一安心。


そうこうして、約30分・・・。

血液がなかなか出てこないのもあったが、規定の量は出たので、本日は打ち止めになった。


次はあさってに、残りの血液を取る事になった。




時は過ぎ、二度目の血液取りの日が来た・・・。



「今日は、左腕で取って見ましょうか?」
ドクターは俺の返事も聞かず、左腕に針を突きさしてきた。


「この大バカモノめが!!俺の意見を・・・・・・。
 ん!?これは・・・!?」



針をさされた左腕を見た俺は、信じられない光景を目の当たりにするのだった!!        つづく